固定資産税評価額(路線価)と相続税路線価の違いとは

同じ路線価でも目的が違う

路線価

路線価が存在する理由

 路線価を付設する目的は、たった一つです。課税するための評価基準とするため。

固定資産税は地方自治体(市町村)、相続税路線価は国税が相続税賦課のためであることは誰しもが想像できることだと思います。

しかし、相続税路線価がすべての路線評価しているわけではないことを知らない人は多いでしょう。

相続税が課税される人が所有している不動産は、市街化区域でしょう。例えば、東京の銀座のような一等地などです。一方、地方には土地持ちがいます。

田畑や原野などは評価は国税は一切行っていません。

こういった田舎の土地についての評価額はすべて、自体が評価している評価額を利用しています。

 

公示価格(実勢価格)へ加算する

不動産鑑定士が評価する地価が10割として、固定資産税評価額は7割(7掛け)、相続税路線価は8割(8掛け)とされています。

つまり、仮に1億程度の価値があると評価されている不動産は固定資産税評価額では7000万、相続税路線価では8000万円程度とされます。

割り戻せば、概ねですが所有物件の価値が分かるということになります。

一つ、注意点としてはそれが土地の位置によって微妙に評価が変わってくることを認識すべきです。

 

角地、整形地などは日本では評価が高い

二つの路線に接している角に位置する土地、正方形や長方形の比較的利用しやすく家を建てやすい土地は評価が高いです。

路線価は、まず近くに整形地や角地など評価がしやすい土地を不動産鑑定士に評価させます。売買実例価額や近年近場で取引された土地を参考に割り出しています。

ただ、問題はほとんど土地売買事例が少ない地域は、適正評価されているのかは鑑定によって微妙に異なります。

ポイント、ポイントと評価をさせ、その価格を元にして路線価を付設。

その付設した路線価を隣、また隣と価値評価していきます。

例えば、学校が近い、駅が近い等の利便性を重視します。道路の幅員などの道路としての評価も大きく影響します。

 

相続に大きく影響する固定資産税評価額

相続税路線価は3年に一度評価されます。固定資産税評価額も同じです。

ただ、さきほど説明した相続税路線価がない地域は固定資産税評価額が大きく影響することを知っておく必要があります。

例えば、地目(利用実態)により大きく変わってくるのです。

田畑は評価額が低く、税金も安いです。

これを儲かるからという理由で駐車場などにすると雑種地となり、評価額も上がります。当然、相続税にも影響してくるのです。

所有者としては利用して利益が得られるという嬉しさもあるでしょうが、相続人が相続税で後日苦労することも考えられることを考慮すべきでしょう。

 

固定資産税とは、一体何なのか

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固定資産税とは

法人及び個人が所有している不動産(土地、家屋)に課税されるもの。

それが総称して、固定資産税と言っていいでしょう。問題は、この固定資産税は専門家がいろいろな資格に跨っており、その中身を全部把握している、そう言えるのは担当している役人だけと言っていいでしょう。

 

土地及び家屋評価

不動産鑑定士、土地家屋調査士

税関連

税理士、公認会計士

 

さらに、関連している税金としては相続税も関係してきます。

各税務署が発表する、相続税路線価が不動産鑑定根拠となっています。

が、しかし。

 

問題は、相続税路線価は都市計画税が課税されるような地域にしか評価されません。よって、都市計画外や市街化調整区域などのような地域は、固定資産税の評価が影響します。

 

担当者も専門官ではない

国税に関しては、税務調査の担当者など他省庁からの出向者がいることは多いです。しかし、基本的に税務署にいる人材は、税務大学を経て入庁する専門官であることがほとんどです。

ところが、地方自治体(市町村)が主に課税している固定資産税の担当は行政職の公務員です。よって、専門家とは言えない。

前の職場ではケースワーカーをしていたり、総務をしていたり、はたまた同じ税でも住民税を担当していたような人が担当として配属されます。

よって、個人により知識はまちまちです。

固定資産税がもっとも特殊な税であると、認識できるかと思います。

 

もうひとつ、特殊なのは自治体の税収の大半は住民税と固定資産税です。

住民税は所得税と連動しており、事実上、税務署が入口となっており、理解も簡単です。

しかし、固定資産税は自治体が独自で評価及び課税しており、地方自治体により取り扱いが微妙に違うというのが実情です。

 

固定資産税と総務省(旧自治省)

ほとんどの税は財務省傘下の国税庁が担当しています。

しかし、固定資産税だけは総務省が担当しており、その結果明らかに制度が二転三転しています。

よって、一般的に理解しがたく、担当している公務員ですら、簡単に説明できるものではなくなっています。

その最大の要因となっているのが、バブル期における地価高騰です。

あまりの上昇に課税抑制策を講じた矢先にバブル崩壊となりました。

これにより、景気に応じて都度、制度変更行ってきました。

 

分かりにくい税となってしまった固定資産税

専門家と言えるのは担当官だけ、制度が頻繁に変わる。

これだけでも、理解が難しい税金となっています。

どのように評価され、どのような実務を行っているのかわからない点が多いでしょう。それを解消するためにブログでその中身を執筆していきます。